無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
ティアナの無事を祝って王宮では質素ながら小さなパーティーを開いた。
食卓にデートの時に食べれなかったケーキを出すと、ティアナは嬉しそうに目を輝かせていた。

食事を終え二人でバルコニーで空に上った月を見ていると、ティアナとアレクシスが二人で月を見ていた時の事を思い出して静かに口を開いた。

「ティアナはさ、もう決めてるんだよね?
誰を選ぶかって……」

そして、それは俺じゃないよね?
と言うとティアナは弾かれたようにこちらを見て目を丸くしていた。

「ティアナのこと、ずっと見てたからわかるよ。
ティアナの心が誰に向いてるのかなんてすぐわかった」

苦笑いしながら言うとティアナは気まずそうに視線を反らして、でも、私は決めれないんです。と口を動かした。

「決められない?もう決まってるのに?」

【……例えば、私に秘密が……誰にも言えないような秘密があって……。
それは他の人には受け入れがたいことで……知られたら、気持ち悪がられてしまうかもしれなくて……】

「アレクシスがその秘密を知ったら態度が変わって嫌われてしまうかもしれない……だから決められない?」

その言葉にティアナは小さく頷いた。
つまり、アレクシスがその秘密を受け止めたらティアナは決断できるわけでーー
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