無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
「皆の憤りはよく理解している。
それ故に今ここで全てを話すためにこの場を設けてもらった。
聞いてもらいたい」

しん……とアレクシスの言葉を聞いて国民が静かになる。
さすがアレクシス、一国の王子ともなれば一声でこの騒動を納めることもできるのだな。とティアナは感心していたが、後にユアンに、あの無愛想な顔で冷たく見下ろされたら誰でも黙るよ。と言われた。

「では、説明させてもらうよ。
事の発端は先日のシュトルツ国での舞踏会で行われるはずだったアレクシスとティアナ嬢の婚約発表に俺が乱入したのが始まりだったんだけど……」

それからユアンは簡単にわかりやすく説明していった。

ティアナに関する不穏な噂はアレクシスの婚約者に選ばれなかったクリスティーネが逆恨みで流した真っ赤な嘘だったこと。
両王家の婚約者候補に対する侮辱は両王家への侮辱に価すること。
その事に関するシュトルツ国内での調査でブリュッケル公爵家の領地での悪事、さらにはティアナを襲う計画が判明したこと。
危険分子を野放しに出来ず、確たる証拠を押さえるためにティアナ自らが囮役を買ってでてくれたこと。

それらを聞いて国民達はクリスティーネ達に視線を移すが、クリスティーネ達は下を向くばかりで一向に顔をあげなかった。
< 146 / 218 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop