無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
「貴族に立ち向かうなんてたいしたもんだ」

「こんな人が王族にいてくれたらきっといい国になるわ」

「ユアン殿下!絶対逃がさないでくださいよ!」

拍手の中から国民の声が聞こえ、顔を上げたティアナは安心したように微笑んだ。
ユアンが、逃がすつもりはないんだけど、もう少し話聞いてくれるー?と言うので、国民は再び静かになった。

「ティアナの話を信じてくれたことに感謝する。
この者達のフライハイト国での処罰だけど、クリスティーネ嬢は修道院へ、他の者達は強制労働。
今まで領地を支えてくれていた国民側に回ってもらって、苦労を覚えてもらうこととなった」

もっと厳しくてもいいのに、うちに寄越せ、厳しくしごいてやる!といった声が聞こえてくる。
まあまあ、とユアンがみんなを宥め騎士達に公爵達を連れていくように指示を出した。

「……い……」

「……?」

近くで聞こえた声にティアナが声の方を見ると、下を向いていたクリスティーネが何やら呟いていた。
その声は徐々に大きくなり、やがて叫び出した。
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