無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
「……彼はヴォルフ。
ティアナと俺の友だ」

友達……?コンドルが……?

未だに唖然としながら回りの人と話す国民にユアンが、俺も、ヴォルフとは今日から友達になったんだよね。と言っていたが、執事はまだ叫んでいた。

「獰猛な動物を手なずけられるわけがない!
みんな騙されている!!」

「騙しているのはお前だろう。
獰猛な動物だろうと心通わせれば危険なこともあるまい。
現にヴォルフは手紙を運ぶことさえ出来る」

アレクシスのその言葉に応えるようにヴォルフは左足を地面に叩きつけ取り付けられた手紙を入れる筒を主張させる。
半信半疑といった国民だが、コンドルとアレクシスの前では何も言えないらしい。

「だが……っ!」

「はいはい、もう黙っててね。
はい、もう連れてって」

まだ喚き足りないらしい執事をユアンが一撃で気絶させると騎士達が連れていった。

「助かったヴォルフ、もう行っていいぞ」

アレクシスの言葉にヴォルフはふんっと顎を反らすと翼を広げ空に舞い上がった。
アレクシスの言葉に従ったかのようなコンドルに、国民達は先程のアレクシスの言葉に納得せざるを得なかった。
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