無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
運命の舞踏会
【ティアナ、ティアナ、あの子が耳を引っ張ってくるよ】

言われて振り返るとまだ小さい男の子が近くにいるうさぎの耳を引っ張り、無理矢理抱っこしようとしているのが見えた。
痛くてうさぎが逃げようとするのを必死に捕まえようとしいるようで、ティアナはその男の子のもとへ近づき腰を下ろすと、“こんにちは”と書いた動物の絵が書かれた紙を見せた。

“はじめまして、どうぶつのことがすきなの?”

「わあ!うさぎさんのえだ!
うん、どうぶつだいすきだよ!」

“ありがとう、ぼくたちもだいすきだよ。
でもね、おみみをひっぱられたら、いたいなぁ……”

紙には悲しそうにしているうさぎの絵が書かれていて、つられて男の子も悲しそうな顔をするとティアナは一度紙を地面に置くと、近くにいたうさぎをそっと抱き上げて男の子に差し出した。
微かに戸惑う男の子の手にそっと触れると、うさぎの背中を一緒に撫でる。
気持ち良さそうに目を細めるうさぎを見て男の子も嬉しそうに微笑むのを見てティアナも嬉しくなった。
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