無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
「婚約者候補を白紙に戻してもらったって言っていたけど、両国共にそんなことを公表してないんだよ。
まあ、騒動が終息してすぐに婚約者候補を外すなんて言ったら、ティアナを……国民を利用したんじゃないかって疑われてもおかしくないからね」

その言葉になるほど、と頷く。
タイミングを誤ると両国共また騒動に発展してしまうだろうから難しい問題かもしれない。

「だが、ぼやぼやしていると最初に予定されていた婚約者を決める舞踏会の日が来てしまうよ」

それは……どうするんだろうか?
その時に候補から外したことを公表するんだろうか?

んー?と今ここで考えていても仕方ないことを考えていると、コンコンと近くの柱を軽く叩く音が聞こえた。

「その事に関しましては、私から両国の間で決まったことをご報告いたします」

後ろから聞こえてきた懐かしい声にティアナが慌てて振り返ると、そこには凛とした佇まいで柔らかく微笑む人物がいた。

「お久しぶりです、ティアナ様。
なかなか戻ってきてくださらないので、私、ナタリーから参上いたしましたわ」
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