無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
場所を移してナタリーが宿泊する予定の部屋に案内されると、ナタリーは二人きりになるなり両手を腰に当てて目をつり上がらせた。
「ティアナ様、必ず帰ってきてくださると言っていたではありませんか」
【ご、ごめんなさい、ナタリー】
「殿下だけが帰ってきたと思ったら、ティアナ様に婚約者候補から外すように言われたとか。
宰相がどれほどショックを受けていたか……」
うう……。とティアナは項垂れる。
シュトルツ国に一緒に行った時の宰相の期待に満ちた眼差しを思い出し、居たたまれなくなっていた。
「……殿下のこと、お嫌いですか?」
静かに問いただしてくるナタリーにティアナは首を左右に振る。
嫌いだなんて、そんなことはない。
むしろその逆で……。
「……好いてくださっているのですね、殿下のことを」
ナタリーにそっと頬をハンカチで撫でられるとそのハンカチは濡れていて、初めて自分が泣いていることに気づいた。
止めようと思っても止めることが出来ず、次々溢れてくる涙をナタリーは何も言わずハンカチで拭ってくれていた。
「ティアナ様、必ず帰ってきてくださると言っていたではありませんか」
【ご、ごめんなさい、ナタリー】
「殿下だけが帰ってきたと思ったら、ティアナ様に婚約者候補から外すように言われたとか。
宰相がどれほどショックを受けていたか……」
うう……。とティアナは項垂れる。
シュトルツ国に一緒に行った時の宰相の期待に満ちた眼差しを思い出し、居たたまれなくなっていた。
「……殿下のこと、お嫌いですか?」
静かに問いただしてくるナタリーにティアナは首を左右に振る。
嫌いだなんて、そんなことはない。
むしろその逆で……。
「……好いてくださっているのですね、殿下のことを」
ナタリーにそっと頬をハンカチで撫でられるとそのハンカチは濡れていて、初めて自分が泣いていることに気づいた。
止めようと思っても止めることが出来ず、次々溢れてくる涙をナタリーは何も言わずハンカチで拭ってくれていた。