無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
「ティアナ、休憩か?」

【はい、殿下方もですか?】

「そうそう、息抜きは大事だからね」

「……俺はお前が仕事をしている場面を数えるほどしか見たことないぞ?」

出来る男は見えないところで仕事してるんだよ。と胸を張るユアンにティアナがクスクス笑っている。
妹が現れたと言えばこの笑顔は消えてしまうだろうか、と思ってしまいアレクシスは絶対にティアナとアネッサを会わせまいと心に誓った。

「今は皇太子妃教育の真っ最中だったよね?
どう?また無茶な教育されてない?」

【今回は大丈夫ですよ。
ナタリーが多めに休憩を挟んでくれていて、こんな風に中庭に来ることも出来てますから】

「なんだ、しんどくて無理ーって感じだったらフライハイトに連れて帰ろうと思ったのに」

「……まだそんなこと言ってるのか」

呆れ果てながら言うとユアンは、隙を見せたらいつでも奪っていくから。と言い放った。

隙など見せるはずがない。
ティアナがいない日々などもう考えられないほど、いつの間にかティアナが傍にいるのが当たり前になっていたのだから。
もう離れることなどないように危険分子は早めに駆除するつもりだ。

「絶対に離さないからな」

ティアナはいきなり言われて意味がわからなかったのだろう、首を捻りつつ小さく頷いた。
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