無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する

絶対に離さない。

そうアレクシスに言われて頷きはしたが、何故いきなりそんなことを言ったのかと二人がいなくなった後の中庭でティアナは考えていた。

なんとなく、本当に何となくだけど何かある気がする。

これが女の勘と言われるものなのかどうかはわからないけれど、なんとなく感じる胸騒ぎに近くにいた猫に話しかけた。

【ねえ、今王宮や街で何かおかしなことはない？】

【おかしなこと……？
ううん、何もないいつも通りの様子だったわ】

【そう……】

のんびりと顔を洗いながら答える猫に頷くと、ティアナは空を見上げた。
ヴォルフは森にご飯を探しに行ってて不在なので空では小鳥達が自由に飛び回っている。

平和そのもののはずなのに何故か胸騒ぎは治まらず、ティアナは胸元にあるネックレスにそっと触れると気持ちを落ち着かせるために目を閉じた。