無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
「それはまだできない。
宰相が苦労して見つけてきた候補者だ、しっかり見定めなければいけない」

「相変わらずお堅いなぁ~。
じゃあさ、俺もティアナの婚約者候補にいれてよ」

「……どこの世界に婚約者候補を共有する王子がいる」

今、ここに。と笑うユアンにアレクシスは心底疲れたと言うように眉間を揉む。
二人の会話についていけないティアナは傍らに立っていたナタリーを振り仰ぐと、気づいたナタリーはにこやかに笑った。

「心配なさらないでください、ティアナ様。
ユアン殿下のお言葉は全て戯れ言だと聞き流せばいいんです」

不敬にあたらないだろうか、とティアナはナタリーの言葉に慌てるが、ユアンは気にしていないとでも言うように笑っていた。

「ナタリーは厳しいなー。
強ち冗談じゃないんだけどね」

「あら、それは失礼しました。
いつもご冗談ばかり言っているようなので、つい」

親しげな二人の様子にティアナは首を傾げ交互に見つめる。
その動作に気づいたアレクシスがティアナに、二人は幼馴染みだ。と教えた。

「ちなみに、アレクシス殿下と私は乳兄妹になります」

だから、言いたいことは何でも言えるんですよ?と茶目っ気に笑うナタリーにティアナは納得したように頷いた。
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