無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
シンプルながらもどこか品がある足元まで隠れるロングドレスを身につけたティアナは儀式の間の前で静かに佇んでいた。

足音が聞こえゆっくり振り返ると、そこには初代国王が身に付けていたものと同じデザインだと言われている衣装を身に纏ったアレクシスが近付いてきていた。

「三日間この儀式のためにしごかれていたと聞いたが……疲れているようだな」

頬に触れたアレクシスの手に自分の手を添えると、目を瞑りそっと頬擦りする。
この三日間、アレクシスにもナタリーにも動物達にも全く会えずに寂しかったのが嘘のように心が穏やかになった気がした。

【大丈夫です。
殿下に会えたおかげで元気が出ました】

「……あまり煽るなよ?
全ての儀式が終わるまでこの唇にすら触れられないのだから、我慢するのも大変なんだ」

言いながら親指でそっと唇を撫でられティアナは顔が赤くなる。
アレクシスに愛しそうに目を細められて、ティアナは高鳴る胸を押さえつつ、無事に儀式が終わることを願わずにはいられなかった。
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