無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
二人きりで行われる儀式は着々と滞りなく進み、一番心配していたお互いの顔を見ることなく言葉を述べるのも、しっかりと間合いを叩き込まれていたおかげで事なきを得た。

最後に深々と礼をしてアレクシスと二人儀式の間を出ると、そこには講師が微笑みながら立っていた。

「そのご様子だと無事に儀式を終えられたようですね。
よく頑張りました」

【ありがとうございます】

「堂々としていてとても素晴らしかった。
この様子ならパレードも心配ないだろう」

「あら、そうはいきませんよ?
パレードの儀式は今回と違う動作が必要となりますので、明日からまたみっちりしごかせていただきますからね」

【……お手柔らかにお願いします】

そう言うと講師の先生は目を細め微笑んだ。

無事に一つ目の儀式が終わったことを動物達に報告したくて、アレクシスとその場で別れるとすぐに中庭に向かった。
けれど、やはり動物達はそこにいなくて、どれだけ声をかけても出てくることはなかった。

暫く待っても出てこない様子に肩を落として自分の部屋に戻ろうとすると、遠くの方でナタリーが歩いているのが見えた。

ナタリー!!

嬉しくなり駆け出そうとしたその足がすぐにピタッと止まった。
ナタリーのすぐ隣、その人物を見て目を限界まで見開く。

そこにいたのは見間違えるはずもない、小さいときの面影を残した幼かったはずの妹、アネッサに違いなかったーー
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