無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
「なんだあの女はっ!!
さっさと音を上げればいいものを、そんなに皇太子妃の座がほしいのかっ!!」

「ティアナ様の妹でしょう!?
講義を受けてもレッスンを受けても成果はなし、何かあればティアナ様のことを欠陥品だの化け物だの貶めることばかり……!
私、そろそろ手が出ますよっ!?」

二人怒鳴り散らし肩で息をすると、若干ストレスが発散され深く深呼吸をする。

アネッサの企みはすぐにわかった。
シュトルツ国王子の婚約者となったティアナの話を聞きつけ、秘密をばらし、ティアナを追い出した後に似たような顔をしていることを利用して自分が婚約者、果ては皇太子妃になろうというクリスティーネと同じ浅ましい考えだ。

そこで、懲らしめてやろうとティアナが受けていた婚約者のレッスンを受けさせてみた。
小さいときから教育されていた貴族と違い、平民が大人になってから受けるそのレッスンは死ぬほど大変らしい。
それをティアナは一度も文句を言わず疲れはてて半日寝てしまうほど頑張っていたが、アネッサはたかが数日で喚いている。

その時点で皇太子妃としての器も資格もないと何故わからないのかと苛立ちさえ覚えるが、多少勘違いしているとはいえティアナの秘密を知っているアネッサに対して何も手を打たずに返すわけにはいかなかった。
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