無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
震える足で前へと進んでいくと、一番奥に立派な黒馬の姿が見えた。
その馬こそが、アレクシスの愛馬のジルだった。
【ジル……久しぶり、だね?】
【……】
【覚えてる?
私、ティアナで、前にアレクシス殿下と一緒に乗せてもらったんだけど……】
【……】
【……どうして……】
どうして話してくれないし、目も合わせてくれないの……?
胸騒ぎを覚えていた心中はアネッサを見かけたあの日から不安に苛まれ、先程聞こえた会話の内容でついに押し潰された。
そんなときにいつも助けてくれて寄り添ってくれていた動物達は姿を現さず、厩舎にいる馬達は誰も此方を見てくれず応えてもくれなかった。
クラっと目眩がして、ティアナは近くの柵に寄りかかる。
レッスンに講義、儀式の練習、その疲れと緊張と不安による睡眠不足、さらに雨に濡れてもずっと中庭にいたのだから体力が奪われているのも明確だった。
下がってくる瞼、力が抜けていく体、それに抗う力もなく、ティアナはそのまま意識を手放した。
その馬こそが、アレクシスの愛馬のジルだった。
【ジル……久しぶり、だね?】
【……】
【覚えてる?
私、ティアナで、前にアレクシス殿下と一緒に乗せてもらったんだけど……】
【……】
【……どうして……】
どうして話してくれないし、目も合わせてくれないの……?
胸騒ぎを覚えていた心中はアネッサを見かけたあの日から不安に苛まれ、先程聞こえた会話の内容でついに押し潰された。
そんなときにいつも助けてくれて寄り添ってくれていた動物達は姿を現さず、厩舎にいる馬達は誰も此方を見てくれず応えてもくれなかった。
クラっと目眩がして、ティアナは近くの柵に寄りかかる。
レッスンに講義、儀式の練習、その疲れと緊張と不安による睡眠不足、さらに雨に濡れてもずっと中庭にいたのだから体力が奪われているのも明確だった。
下がってくる瞼、力が抜けていく体、それに抗う力もなく、ティアナはそのまま意識を手放した。