無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
「どこで会った?」
低く怒気を含んだその声色に思わず竦んでしまいそうになるが、なんとか自分を奮い立たせて口を開こうとする。
本当は答えを聞くことが怖くて仕方ないが、自分のの“声”は相手が此方を見ていてくれないと届かない。
思いを伝えるのは、知ってもらうのは、今この時しかないのだと言い聞かせて必死に口を動かした。
【会ったのではなく二回姿を見ただけです。
それで先日殿下と話しているところを目撃して、会話も聞こえてしまって……】
「話?」
【アネッサに教育をしていると……教育が終わらないと私の代わりになれないと……】
そう伝えるとアレクシスは歯痒そうな表情をして首を振った。
「違う。
ティアナの代わりなどいるわけがないだろう」
【ですが、そのために教育をしていると聞きました……!】
「アネッサはティアナの秘密をばらして自分が婚約者の座に立ち代わろうとしていた。
婚約者になる大変さをわからせるために教育を施させただけで、代わりにしようとなど思ったことはない」
【ですが……】
顔をうつ向かせようとしても固定されていたままで動かせない。
真っ直ぐ見つめてくる視線を受け止めきれず視線を反らそうとすると、額と額をくっつけられて目の前いっぱいにアレクシスの端正な顔が写りこんだ。
低く怒気を含んだその声色に思わず竦んでしまいそうになるが、なんとか自分を奮い立たせて口を開こうとする。
本当は答えを聞くことが怖くて仕方ないが、自分のの“声”は相手が此方を見ていてくれないと届かない。
思いを伝えるのは、知ってもらうのは、今この時しかないのだと言い聞かせて必死に口を動かした。
【会ったのではなく二回姿を見ただけです。
それで先日殿下と話しているところを目撃して、会話も聞こえてしまって……】
「話?」
【アネッサに教育をしていると……教育が終わらないと私の代わりになれないと……】
そう伝えるとアレクシスは歯痒そうな表情をして首を振った。
「違う。
ティアナの代わりなどいるわけがないだろう」
【ですが、そのために教育をしていると聞きました……!】
「アネッサはティアナの秘密をばらして自分が婚約者の座に立ち代わろうとしていた。
婚約者になる大変さをわからせるために教育を施させただけで、代わりにしようとなど思ったことはない」
【ですが……】
顔をうつ向かせようとしても固定されていたままで動かせない。
真っ直ぐ見つめてくる視線を受け止めきれず視線を反らそうとすると、額と額をくっつけられて目の前いっぱいにアレクシスの端正な顔が写りこんだ。