無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
「視線を反らすな。
俺を見ろと言ったはずだ」

強く言われティアナは一度だけ頷くと、アレクシスはそのまま言葉を続けた。

「確かにあの時誤解を招くことを言ったが、俺の婚約者はティアナだけだ。
他の誰も代わりなど出来るはずがない。
ティアナだからこそ、こんなにも欲しているのだから」

【……本当に、アネッサは代わりではないのですか?】

「無論だ」

【あの子は私と似たような顔に成長してましたから、欠陥品の私よりアネッサを選ぶのかと不安でした……】

「俺は顔で花嫁を選んだりはしない、その者の中身を見て決めたつもりだ。
それに、いくらティアナでも俺の婚約者を欠陥品などと言うな。
ティアナにはどこも欠けているものなどない、完璧な俺の唯一の婚約者だ」

どこまで真っ直ぐに言葉を伝えてくれるのだろうと、ここ数日で何度も流した涙がまた溢れ出した。
一瞬でもアレクシスを疑ってしまったのにアレクシスはそれに怒ることもなく受け止めて、どこまでも真摯に答えてくれている。

ティアナは思わず腕を伸ばしアレクシスにしがみつくと肩を震わせて泣き出した。
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