無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
【よかった!全部聞いたんだね!】

【ティアナに気づかせるな、話すなって言われたから隠れてたんだよー!】

【僕達ティアナには何でも話しちゃうもんね】

【いつまで会えないのかと思ったよー!】

次々に話す動物達の言葉にティアナは何度か瞬きをして首を傾げた。

【話すなって?
気づかせるなって何を?】

「すまない、やはり俺が原因だったようだ」

苦虫を噛み潰したような顔をして頭を掻くアレクシスにどういうことかと視線を送ると、アレクシスは言いづらそうに話し出した。

「ユアンが来たあの日がアネッサが来た日だった。
ティアナに心の傷を負わせたアネッサをティアナと会わせたくなかったから動物達に頼んだんだ、この事に関して気づかせないようにしてほしい、話さないでほしいと」

【……動物達はとても素直で、隠し事なんて出来ないんです】

「俺の頼みを聞くには姿を消すしかなったのだな……悪いことをした」

すまない。とティアナと動物達に謝るアレクシスに動物達はニャーニャー、クークー、ピィピィ鳴いた。

【ティアナのことを想って言っていたのは分かってたから協力した、だから気にするな。だそうです】

そう言うとアレクシスは目を細めて微笑んだ。
ティアナが大好きな、優しい微笑みだった。
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