無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
二つ目の儀式が間近に迫ったある日、アネッサが暴れていると聞きレッスンをしている部屋に足を運ぶと、そこでは本を床に叩き付け、講師やナタリーに当たり散らしているアネッサの姿があった。

「建国の歴史なんて今更なんの役に立つのよ!!」

「国の成り立ちを知らずして今後の国を担うことが出来ますか?」

「出来るに決まってるじゃない!!
過去の事はどうでもいいのっ!今が平和ならそれでいいじゃない!!」

「そうやって慢心していては、近い将来国を揺るがすことにもなりかねません」

「将来なんて知らないわっ!
それはその時代の人達がなんとかすればいいの!!」

あまりにも自分本意な考えに講師もナタリーも呆れ果てているらしく、次の言葉が見つからないようだった。

「素晴らしく浅はかな考えだな」

「っ!?」

弾かれたように此方を見たアネッサは最初の頃に見せていたような媚びた表情はなく、鋭く目をつり上がらせた怒りの形相をしていた。

「殿下、私、やはり姉さんがこんなことを全てやり遂げたとはとても思えません」

「残念ながら、ティアナは全ての教育をやり遂げた。
そして、今は失敗など許されない儀式の動作を体に叩き込まれている最中だ」

そう言うとアネッサは悔しそうに唇を噛み締めていた。
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