無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
儀式当日、一つ目の儀式に着た衣装に似たロングドレスに遠目でも目立つように施された繊細な刺繍、頭上にはティアラ、顔はまだ国民に見せないためにベールを着用することとなっている。

しかし、透明感のあるこのベールでは顔は隠れないのではないかとナタリーに聞くと、昔はまったく顔を見られないよう分厚いベールだったそうですが、あまりにも分厚すぎて長いパレードの中息苦しくなる方が続出したそうです。なので、今は顔を隠すのは形ばかりの薄いベールになったそうですよ。言われた。

パレード用の天井が取り払われた馬車に行くと、そこにはすでにアレクシスが待機していた。
目が合い微笑むとアレクシスが無言で手を差し出してきたので手を乗せると、自然なエスコートで馬車に乗せられた。

お互い暫く無言でいると、馬車がゆっくり動きだし王宮を出る。
ここから街に出て長い時間をかけて王都を一周し、またここに戻ってくるまでが国民へのお披露目となるパレードの儀式。

微笑み方、手の振り方、その角度、姿勢、全てが決められていて休むことは許されない。
何度も練習していて顔の筋肉や腕がつってしまいそうになったことが多かったが、今日は絶対やりきってみせると気合いを入れていた。
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