無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
自分の膝の上に頭を乗せてすぅすぅと静かに眠るティアナの髪にそっと指を通す。
滑らかなその手触りにナタリーが念入りに手入れしていることを想像させ、ティアナがその分どれだけ慕われているのかも簡単に想像がついた。

「……やっと、結婚できるな」

その言葉に答える者はいないが、気にすることなくティアナを見つめ続ける。
こんなにも大切に思える女性に出会うなどとは思わなかった一生独身でもいいと思っていたティアナと会う前の自分に教えてやりたい。

理想の花嫁はもうすぐ、自分の前に現れるのだとーー

「ティアナ、愛してる。
俺と結婚してくれ」

まだ言ったことのない言葉をそっと囁くと、聞こえていたのかティアナは幸せそうに微笑んだ。

いつまでもこの笑顔を護っていきたい。
誰の傍でもなくずっと自分の隣で、幸せそうに微笑んでくれていたらそれだけでこれからの未来も頑張れる気がしていた。

傍らの動物達は静かに寝そべり目を細めている。
穏やかな風が吹く中、アレクシスは飽きることなくティアナを見つめていた。
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