無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
ティアナはカチカチに固まっていた。

中庭に広げられた敷物にちょこんと座り、目の前には美味しそうなサンドイッチ。
それを取り囲むティアナ、アレクシス、王妃、国王。
そしてその後ろにずらずらと並ぶ護衛の騎士やお付きのメイド、さらには役職もわからない偉そうな人達。

チラッとアレクシスを見てみると、呆れたような顔をしていた。
その視線を王妃に向けると、その視線に気づいたらしい王妃がにこりと笑った。

「ティアナ、私は貴女に会いたくて来たの。
気持ちを楽にしてお話ししましょうね?」

その言葉にティアナは何度も頷く。
理由はわからないが、王妃自ら会いに来てくれたのだから気持ちを楽になど出来そうにないが、アレクシスによく似たその顔で微笑まれたらほんの少し緊張が解れた気がした。

「ティアナはクヴェルから来たのよね?
クヴェルでは何をしていたの?」

“小さな広場で動物と戯れる場所があり、そこで働いていました”

「動物と……?
何故そのような場所があるの?」

“クヴェルは泉が観光名所ですが、子供達には退屈なようでした。
なので、親御さんが泉を観光している間は子供達は動物と遊んでいる、という場所が作られたのです”

「では、ティアナは子供の相手も得意なのね?」

“僭越ながら……”

そのティアナの返答に王妃は一度頷いた。
世間話ながらの王妃のティアナの見極めは始まったばかりだった。
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