無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
「国王様、私はティアナが気に入りましたわ」

中庭での団欒の帰り道、王妃は歩きながら一歩前を歩く国王に話しかけた。

「子供の扱いに長けていて、結婚相手には地位より何より愛情を求める、母になるものとして、これ以上うってつけな者はいません。
それにティアナのあの目は濁りなく、嘘をついているようには見えませんでしたわ」

王妃の言葉に国王は、うーむ。と考える仕種をするが、王妃が、国王様、私はティアナがいいです。ともう一度、今度は無言の圧力のかかった笑顔で言うと、圧力を感じたのであろう国王は冷や汗をかきながら頷いた。

この国の影の支配者は、他でもない王妃かもしれない、と二人の後ろに続く騎士達は皆一様に思っていた。

「そうと決まれば、一日も早く婚約者に相応しい淑女になってもらわないといけないわね。
宰相とナタリーを呼んでちょうだい。
それから、行商も呼んでドレスなどを作らないといけないわ」

ああ、娘が出来るとなんて楽しいのかしら……!
と王妃は楽しそうにこれからの計画をたててワクワクしている。

こうして、ティアナの知らないところでアレクシスの婚約者計画は進み始めることとなった。
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