無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
「頭の回転も早いのね。
お察しの通り、王妃である私がティアナを正式な婚約者にするための教育を施すよう命じました。
今までよく頑張りましたね」

大変だったでしょう?と気遣われるがティアナはなにも反応ができない。
さして気にすることなく王妃は言葉を続ける。

「近々、婚約発表をしようと思っています。
ティアナがアレクシスの婚約者だと、全員にお披露目するのです」

その言葉にはアレクシスも寝耳に水で王妃の発言に言葉がでなかった。
動揺のあまり、ティアナは持っていたペンを床に落としたことさえ気づかないくらいだ。

「王妃様、それは急すぎでは……」

「ティアナは婚約者候補としてここにいたのでしょう?
立派な淑女のマナーを手に入れた、今この時が発表するときではなくて?」

確かに、候補者として王宮にとどまり続けたのは事実だが、ティアナ自身はアレクシスからクヴェルに戻る許しが出るまでの間のものだと思っていた。

それがまさか、正式な婚約者になるなんて……。

「正式な日取りが決まったら追って伝えます。
それまでまだ講義は続けるので、これまで以上に励みなさい」

下がってもいいと退室を許可され、ティアナはふらつきながらもナタリーに付き添われ部屋を出た。
部屋に残されたアレクシスは王妃をじっと見つめていた。
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