無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
中庭につくと案の定、ティアナはいた。
ナタリーに目配せして二人きりにしてもらうと、アレクシスはティアナの隣にそっと腰かけた。

「……驚いたか?」

こくん、と一つ頷いたのを確認してアレクシスは、俺も知らなかった。と呟いた。

確かに国王達に、婚約しようと思う。とは言ったが、ティアナの心が手に入ってからのつもりだった。
なので、こんなに早急になるとは思わなかった。

黙りこんでしまったアレクシスの顔をゆっくりとティアナが見ると、アレクシスは真剣な眼差しでティアナを見つめていた。

「ティアナは、ユアンが好きなのか?」

【そんな、好きだなんて畏れ多い……】

「ならまだ、好意はないと?」

先日からなんなのだろう。
ユアン殿下といい、アレクシス殿下といい、お互い相手に好意を持っているのかと聞いてくる。
実際、ティアナはまだ二人に特別な感情を持っていないので返答に困ってしまう。

「ティアナ、先日ユアンが何を言ったかは知らないが……俺は本気だ」

その眼差しにティアナはドキッとするも、慌てて頭を振る。
そんなティアナの頬にアレクシスはそっと手を添えるとティアナと視線を交じらせた。

「今まで候補者として見てきたが、俺はティアナなら婚約者として……妃として傍にいて欲しいと思うようになった。
ユアンに……いや、俺以外の誰かにティアナの笑顔が向けられるのは我慢できない」
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