無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
「ティアナー!ティアナはいるかいー?」

泉近くの小さな広場、子供達が楽しめるようにと数種類の小動物と触れあえる場所がある所に先程の女将と宰相はいた。

呼ばれて駆け寄ってくるティアナは、女将とその後ろに見知らぬ初老の男性を見て不思議そうな顔をしつつも会釈をする。

「どうです?さっきの条件に当てはまるでしょう?」

ティアナを前にして何故か胸を張る女将の前に、宰相はよろよろと出てティアナを上から下までじっくりと見定める。

さほど近寄っても香水の匂いなどしない、化粧もしていない、働いている最中だからか服は派手でなく、装飾品もない。
適齢期ではありそうだが、一目ではお喋りかどうか、地位を目的とした結婚を望むかどうかなどわからない。

悩みだす宰相に女将小声で話しかけた。

「ティアナは見た目通りの慎ましい子です。
孤児だけど、地位や財産などあてにしない子だとクヴェルのみんなが保証しますよ。
……生まれつき声が出ないようでお喋りなど出来ませんしね」

「なんと……それは真でしょうかな?」

宰相の目が輝きだし、女将とティアナを交互に見つめる。
女将はしっかり頷くが、ティアナは話がわからず首を傾げる。

宰相の決断は早かった。
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