無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
ティアナの逃げようとする視線を追い詰めるように、空いているもう片方の手をティアナの反対側の頬に添え額をくっつけた。
今までにない至近距離に恥ずかしくなるが、どうあっても逃げられない。
ティアナはぎゅっと目を瞑るとアレクシスがふっと微笑みその耳元で囁いた。
「ティアナ、まだその心に誰もいないのなら、俺を選べ」
最後に、添えていた手でそっと頬を撫でてアレクシスは去っていった。
そこに残されたのは痛いくらい高鳴る心臓を持て余し、真っ赤に染まった頬を両手で押さえるティアナと、我先にと群がろうとする動物達だった。
「上出来です、殿下。
立派に口説かれてましたよ」
「……盗み聞きか」
違います。読唇術です。と柱の影から出てきたナタリーが悪びれる様子もなく言い放つ。
何か言ってくるかと思いきや、何も言わずに去ろうとするアレクシスに、おや?と思うがその耳が赤く染まっているのを見てナタリーは笑いを堪えるのに大変だった。
無愛想で不器用な殿下は、意外と照れ屋でもいたのだ。
今までにない至近距離に恥ずかしくなるが、どうあっても逃げられない。
ティアナはぎゅっと目を瞑るとアレクシスがふっと微笑みその耳元で囁いた。
「ティアナ、まだその心に誰もいないのなら、俺を選べ」
最後に、添えていた手でそっと頬を撫でてアレクシスは去っていった。
そこに残されたのは痛いくらい高鳴る心臓を持て余し、真っ赤に染まった頬を両手で押さえるティアナと、我先にと群がろうとする動物達だった。
「上出来です、殿下。
立派に口説かれてましたよ」
「……盗み聞きか」
違います。読唇術です。と柱の影から出てきたナタリーが悪びれる様子もなく言い放つ。
何か言ってくるかと思いきや、何も言わずに去ろうとするアレクシスに、おや?と思うがその耳が赤く染まっているのを見てナタリーは笑いを堪えるのに大変だった。
無愛想で不器用な殿下は、意外と照れ屋でもいたのだ。