無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
危険分子
先日の舞踏会の様子は二つの国の貴族、果ては平民にまで知れ渡ることとなった。
すぐにシュトルツ国、フライハイト国が話し合い、勝負の決め事を全国民に知らせた。

一つ、権力にものを言わさず正々堂々とアプローチすること。

一つ、その方法は問わず。
だが、王子の名に懸けて紳士に行動し接すること。

一つ、期限は三ヶ月。
ティアナの心がより傾いた方の勝利とする。

一つ、万が一ティアナの心がどちらにも傾かなかった場合、ティアナを平民の暮らしに戻しその後不便なきよう配慮する。

そして、勝敗を決する舞台は両国で行われる親睦を深めるのを目的とした舞踏会会場。
二人の王子がダンスを申し込み、手を取った方の勝ちとする。

その御触れが出回った瞬間、両国はさらに盛り上がりを見せた。

シンデレラストーリーに平民はティアナに希望の念を持ち、王妃の座争いに興味がなかった貴族の女性達は小説の一幕のような出来事に胸を踊らせた。

しかしその影で、婚約者になり損ねた一部の貴族達は結託しつつあり良からぬことを企み始めていたが、それはまだ誰も気づくことはなかった。
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