無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
疲れた……。

一日のレッスンが終わりティアナは食事までの時間の間だけ……。と、ベッドにポスンと倒れた。

ただ立つだけでも日頃使わない筋肉を意識して使うので、全身が筋肉痛で悲鳴をあげている。
食事や立ち振舞い、お茶会などのマナーなどの基本的なことは身に付けたが、王子二人が奪いあう婚約者として大々的に披露されてしまってからはより一層厳しい講義となり、ティアナは毎日が疲弊していた。

これを幼少の時からのレッスンで完璧に身に付けさせられているという貴族の人達は、どれだけ大変だったのだろう。とティアナは勝手に落ちる瞼に抗おうとしながらも思案している間に、暗闇の中に意識を手放していった。

暫く経ってから、ティアナの部屋にノックの音が響く。
一時経ってから扉が開かれると、食事の時間を知らせに来たナタリーがゆっくりと室内を伺う。

やがて寝室で眠っているティアナを見つけると、優しく微笑み毛布をそっと上にかける。

「大変でしょうけど、どうぞ頑張ってくださいませ。
……食事は後でなにか軽いものを作ってもらいます」

聞こえるはずもない励ましを静かに囁いてナタリーは部屋を静かに出ると、ティアナが来るのは今か今かと待っているであろう両国の王子にティアナは来ないと伝えるために食堂に向かった。
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