無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
結局その日は目覚めることもなく、次の日の朝まで眠り続けていたティアナは使用人達に湯浴みを手伝ってもらい、朝食をとるためにナタリーと食堂に向かった。

「おはよう、ティアナ。
よく眠れた?」

食堂にはすでにアレクシスとユアンがいてティアナが席につくのを待っていた。
ユアンの問い掛けに気まずそうに頷くと、今まで散々叩き込まれたマナーが自然と身についたようで、失敗することもなく無事に食事を終えるとアレクシスもユアンも満足そうに微笑んだ。

「ここまで完璧ならもうレッスンはいらないよね、アレクシス?」

「王妃の意向だから完全になくすわけにはいかないが、大分減らすことはできるだろう」

その言葉にティアナは嬉しそうに微笑んだ。
ここ最近、中庭にも行けてないほど忙しく、疲弊していたので正直すごく有り難かった。

「食事が終わったら二人で出掛けようと思うんだけど、どうかな?」

【お出掛け、ですか?】

「そう、頑張ってるティアナの息抜きにシュトルツ国を案内するよ」

「待て。
何故隣国のお前がこの国を案内する?」

「だって、小さい時からずっと遊びに来てるから自分の国みたいな感じだし。
迷ったりしないから大丈夫だよ」

そういうことを言いたいんじゃない。とアレクシスは目で訴えるがユアンは敢えてその目を見ないようにティアナの方を向いている。

行く?と聞かれて、アレクシスの様子に戸惑いながらもティアナは小さく頷いた。
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