無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
それからすぐに平民用の服に着替え、馬車を待たせてあると言われた所に行くと、同じく平民の服を着ているのに気品溢れるオーラはそのままなユアンが笑顔でティアナを出迎えた。

「やあ、平民の服のティアナも可愛いね」

こうやってごく自然に褒められるのはユアンの成せる技なのだろう。
その誉め言葉にティアナは、ありがとうございます。と微笑むと馬車の前にいる馬に近寄った。

【今日はよろしくね】

ティアナが声をかけると馬は一鳴きして応える。
ユアンはそれを不思議そうに見ていた。

「ティアナは動物と会話しているみたいだね。
はい、お手をどうぞ」

【あ、ありがとうございます】

ユアンの言葉にドキッとしながら手を借りて馬車に乗り込むと、行ってらっしゃいませ。と一緒に乗らずに外で一礼しているナタリーに気づいた。

【ナタリーは一緒に行かないの?】

「今回はユアン殿下とのデートですから。
私がついて行けば邪魔にしかなりません」

「大丈夫、ナタリーがいなくても変なことはしないし、ティアナはちゃんと守るから」

ユアンの言葉にナタリーは、信用ならない。とでも言いたげな視線を寄越すがなにも言わず、もう一度礼をして馬車が動くのを待った。
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