無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
数日後、ティアナは宰相の休暇が終わるのに合わせてシュトルツ国に来ていた。
一度だけ、会うだけでも!と強くせがまれ、周りの人にも、観光だと思って行っておいで。と背中を押されたからだった。
「いやぁ、数ヵ月間の苦労が報われたようですな」
意気揚々と先を歩く宰相にティアナは慌ててその袖を引く。
おっ?と宰相が振り返ると、ティアナはポケットに入れていた小さな紙を取り出し宰相に見せる。
“はぐれてしまいそうです”
“手を繋いでください”
「おお!失念しておりました!
ささ、お手をどうぞ」
笑顔で差し出された手にティアナはそっと触れるとしっかり握る。
「いやはや、もしかしたら未来の皇太子妃と手を繋ぐことになるとは、一生の自慢ですな」
ご機嫌な宰相にティアナは苦笑するが、宰相は気づかず言葉を続ける。
「アレクシス殿下はとても立派なお方です。
もし殿下に気に入って頂けたら、ティアナ殿も婚姻を前向きに考えてくださるようお願いしますぞ?」
その言葉にティアナは小さく頷くと、空いている方の手で胸の辺りを掴んだ。
殿下もきっと、秘密を知れば気味悪がってーー。
「さあ、見えてきましたぞ!あれがシュトルツ国の王宮です」
宰相の声に思考が中断され、顔を上げる。
そこには立派な城がティアナを待ち構えていた。
一度だけ、会うだけでも!と強くせがまれ、周りの人にも、観光だと思って行っておいで。と背中を押されたからだった。
「いやぁ、数ヵ月間の苦労が報われたようですな」
意気揚々と先を歩く宰相にティアナは慌ててその袖を引く。
おっ?と宰相が振り返ると、ティアナはポケットに入れていた小さな紙を取り出し宰相に見せる。
“はぐれてしまいそうです”
“手を繋いでください”
「おお!失念しておりました!
ささ、お手をどうぞ」
笑顔で差し出された手にティアナはそっと触れるとしっかり握る。
「いやはや、もしかしたら未来の皇太子妃と手を繋ぐことになるとは、一生の自慢ですな」
ご機嫌な宰相にティアナは苦笑するが、宰相は気づかず言葉を続ける。
「アレクシス殿下はとても立派なお方です。
もし殿下に気に入って頂けたら、ティアナ殿も婚姻を前向きに考えてくださるようお願いしますぞ?」
その言葉にティアナは小さく頷くと、空いている方の手で胸の辺りを掴んだ。
殿下もきっと、秘密を知れば気味悪がってーー。
「さあ、見えてきましたぞ!あれがシュトルツ国の王宮です」
宰相の声に思考が中断され、顔を上げる。
そこには立派な城がティアナを待ち構えていた。