無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
「確かお名前はティアナ様、でしたわよね?
フライハイト国のユアン殿下も大層お気に召しているご様子、何故あの方が選ばれたのですの?」
「答える必要はない」
アレクシスの素っ気ない受け答えにクリスティーネは扇を持っている手に僅かに力を込める。
だが、それも一瞬のことですぐに扇を開き口元を隠すとにっこり微笑んだ。
「あの舞踏会で殿下方は勝負されることを宣言されておりました。
ティアナ様がユアン殿下を選ばれた場合、やはり私が殿下の婚約者になるのでしょうから、これからも親睦を深めるべきかと……」
「必要ない」
きっぱりと言い放ったアレクシスにクリスティーネの浮かべていた笑みが消えると、真っ直ぐクリスティーネに向かって口を開いた。
「俺はティアナこそ婚約者にと思っている。
ユアンに奪われる愚かな真似はしない」
「……左様でございますか」
「話はそれだけか?
なら、用がなければ王宮に来ないでもらおう。
俺はそこまで暇ではない」
「……畏まりました」
最後まで愛想の欠片もない対応で出ていくアレクシスに頭を下げると、クリスティーネはギリッと唇を噛み締めた。
王妃になるのに相応しいのは自分以外あり得ない、それがティアナという女のせいで台無しになろうとしている。
あの生意気にもじっと見つめてくる瞳を思い出しながら、クリスティーネは応接間を出る。
あの女がいなければ、王妃の座は自分のものだ。
そう信じて疑わずに堂々と廊下を突き進んでいった。
フライハイト国のユアン殿下も大層お気に召しているご様子、何故あの方が選ばれたのですの?」
「答える必要はない」
アレクシスの素っ気ない受け答えにクリスティーネは扇を持っている手に僅かに力を込める。
だが、それも一瞬のことですぐに扇を開き口元を隠すとにっこり微笑んだ。
「あの舞踏会で殿下方は勝負されることを宣言されておりました。
ティアナ様がユアン殿下を選ばれた場合、やはり私が殿下の婚約者になるのでしょうから、これからも親睦を深めるべきかと……」
「必要ない」
きっぱりと言い放ったアレクシスにクリスティーネの浮かべていた笑みが消えると、真っ直ぐクリスティーネに向かって口を開いた。
「俺はティアナこそ婚約者にと思っている。
ユアンに奪われる愚かな真似はしない」
「……左様でございますか」
「話はそれだけか?
なら、用がなければ王宮に来ないでもらおう。
俺はそこまで暇ではない」
「……畏まりました」
最後まで愛想の欠片もない対応で出ていくアレクシスに頭を下げると、クリスティーネはギリッと唇を噛み締めた。
王妃になるのに相応しいのは自分以外あり得ない、それがティアナという女のせいで台無しになろうとしている。
あの生意気にもじっと見つめてくる瞳を思い出しながら、クリスティーネは応接間を出る。
あの女がいなければ、王妃の座は自分のものだ。
そう信じて疑わずに堂々と廊下を突き進んでいった。