無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
応接間を出て真っ直ぐ中庭に行くと、ティアナが動物達になにやらキューキュー鳴かれて困っているのが見えた。

「なんだ、今日のこいつらは不機嫌なのか?」

【あ、はい。
そのようです】

アレクシスが現れた途端に動物達はアレクシスに向かいキューキュー鳴き喚く。
餌なら持ってないぞ。と言っても鳴き止む様子はない。

実際、お腹を空かせて鳴いているのではなく、なんであの女がここに来たんだ!?とクリスティーネに関することで怒っているのだが、アレクシスに伝わることはなかった。

「昨日はユアンと外に出たと聞いたが、どうだった?」

【街のみなさんもすごく気さくに話しかけてくれて、とても楽しかったですよ。
あと、クヴェルと違って人があまりにも多いので驚きました】

「確か、繁華街の方へ行ったんだったな」

【はい、そうで……あっ!!】

言いかけて、思わず口に手を持っていき黙りこむティアナにアレクシスは、どうした?と聞くと、ティアナは眉を下げて、小さなことなんですけど……。と口を開いた。

【ユアン殿下、美味しいケーキのお店を紹介してくれるって言ってたのに、結局行けませんでした】

あの騒ぎの後だから仕方ないのだが、ケーキを楽しみにしていたので少し残念に思っていた。
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