無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
狼煙を上げる準備を
フライハイト国クヴェル出身

生まれつき声が出ないが動物になつかれやすく、クヴェルでも小動物を扱う仕事をしていた。

孤児であるため身分は明らかではないが、平民には違いない。

穏やかな性格に見えるが、負けん気が強く無鉄砲な行動をとることもある。


「これが、ティアナ嬢の調査結果です」

「へえ……？
舞踏会で一言も話さないと思ったら、そういうことでしたの」

孤児で平民、やはりアレクシスの婚約者には全く相応しくないではないかとクリスティーネは眉を潜める。
負けん気が強く無鉄砲という文字を見て、馬の前に飛び出し、怯むことなく自分を睨み付ける無礼さを思い出した。

「これくらいの調査でわかる範囲のこと、王様や王妃様が知らないはずはないでしょうし、同情で婚約というのも考えられません。
やはり、何か重大な秘密を持ってして脅しているのかもしれないわね」

「重大な秘密……それで婚約者の座を？」

「可能性は高い気がします。
あの舞踏会での茶番劇もあの女のシナリオでしょう。
浅ましい平民が考えそうな事ですわ」

持っていた調査票を机に置くと、目の前に立つ執事をじっと見つめる。

「あの女が握っている秘密、なんとしてでも探ってくるのです」

「手段は？」

「問いません」

「畏まりました」

綺麗にお辞儀して執事は部屋を出ると残ったクリスティーネは歪んだ笑みを浮かべた。
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