無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
庭に出ると餌やりが終わったのだろう、二人それぞれ動物を抱き上げ談笑していて、ユアンがティアナ!と呼んだ声に振り返った。

【殿下方、休憩ですか?】

「そうだよ。
執務室から見てたら二人とも楽しそうだったから、仲間に入れてもらおうと思って。
いいよね?」

「も、もちろんですっ!」

突然王族二人が現れたからだろうか少年は緊張した様子で背筋を伸ばして、返事をした声は上擦っていた。
その様子にユアンが、緊張しないで、ほらリラックスー。と声をかけながらさりげなくティアナの隣に座った。

ちゃっかりしているユアンに呆れながら、アレクシスは未だに固まったままの少年を見ると、少年はビクッと肩を揺らした。

「アレクシス、ただでさえ無愛想で顔が怖いんだから無言で見ちゃ駄目だよ」

ケラケラ笑いながら言うユアンを思わず睨み付ける。
お前のように面白くもないのに笑えるか、と睨むがユアンは意に介さずにこにこしている。

「それで、君は?
初めて見るけど最近入ったのかな?」

「は、はいっ!
先週から庭師見習い兼、動物の世話係として入りました、オスカーと申します!」

よろしくお願いします!と深くお辞儀をするオスカーにユアンは、こちらこそよろしくー。と返す。

「で、オスカーはティアナを狙ってる?」

「え?」

「直球だな……」

ユアンが一番気になっていたであろう事柄を問うとオスカーはキョトンとする。
その様子にアレクシスは呆れ果てるのだった。
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