無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
いい具合に日も暮れ始め、自分の国に帰ろうと馬を用意しているとふと先程のティアナの表情が頭をよぎった。
アレクシスに顔を覗きこまれただけであんなに真っ赤になっていたティアナ。
自分だって髪にキスをしたり、ダンスの練習で密着したり、街でのデートでふざけたふりして抱き締めたりもしたけど、微かに顔を赤くするだけであんなに真っ赤になったことは一度もなかった。
それに、あの潤んだ瞳は間違いなく、恋する瞳ーー
「もう結果見えてるのかな……」
その声に答える者はいなくて、暫くの間夕焼けを仰ぎ見てから、でも、まだ諦めないよ。初めての本気の恋なんだから。と呟くと、後ろから聞こえてきた土を踏みしめる音を億劫に感じなら振り返った。
「なに、オスカー。
何か用?」
「あの……失礼ながらお聞きしたいことがございます」
「聞くだけ聞くけど、答えるかわからないよ?」
「はい。
えっと……不穏な噂を聞きまして……」
「不穏?」
おどおどしているオスカーをじっと観察していると、どうも様子がおかしい。
王子として数多くの人間を見てきたからわかる、何か隠しているような、誤魔化しているような、そんな雰囲気に思わず眉を潜めた。
アレクシスに顔を覗きこまれただけであんなに真っ赤になっていたティアナ。
自分だって髪にキスをしたり、ダンスの練習で密着したり、街でのデートでふざけたふりして抱き締めたりもしたけど、微かに顔を赤くするだけであんなに真っ赤になったことは一度もなかった。
それに、あの潤んだ瞳は間違いなく、恋する瞳ーー
「もう結果見えてるのかな……」
その声に答える者はいなくて、暫くの間夕焼けを仰ぎ見てから、でも、まだ諦めないよ。初めての本気の恋なんだから。と呟くと、後ろから聞こえてきた土を踏みしめる音を億劫に感じなら振り返った。
「なに、オスカー。
何か用?」
「あの……失礼ながらお聞きしたいことがございます」
「聞くだけ聞くけど、答えるかわからないよ?」
「はい。
えっと……不穏な噂を聞きまして……」
「不穏?」
おどおどしているオスカーをじっと観察していると、どうも様子がおかしい。
王子として数多くの人間を見てきたからわかる、何か隠しているような、誤魔化しているような、そんな雰囲気に思わず眉を潜めた。