無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
【あの子はティアナを裏切るわ。
だから、仲良くしないで】

【でも、みんなにもご飯持ってきてくれて、私にも笑いかけてくれる優しい人よ?】

何故いきなりそんなことを言い出したのか理解できず困って周りの動物を見るも、全員が鋭い目をティアナに向けていた。
思わず生唾を飲むと、ゆっくりと口を開く。

【……何か見聞きしたのね?】

動物達は素直だ。
余程のことがない限り、誰彼構わず敵意を向けることはない。
小さいときから動物達と一緒に遊び、成長してきた自分だからこそわかる。
ここまで動物達が剣呑な雰囲気を出しているということが、どういうことなのかと。

【教えて、オスカーのことで何を見て何を聞いたのか。
私に関係あることなんでしょう?】

動物達は隙間から、空から、どこからでも見ていて、壁を隔てた小さな声ですらしっかり聞こえる。

信じるべきは、最近親しくなったオスカーではなく小さな時からの親友とも呼べる素直な動物達だと、ティアナはじっと動物達を見て静かに話を聞いた。
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