無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
パァンッ!!と大きな音が静寂の中にあった謁見の間に響き渡った。
みんなが驚き顔を上げると、ティアナは思いきり叩いた自分の両手を下ろし一人一人の顔をゆっくり見た。

【何も聞かず、私のことを信じていただければ……必ずれっきとした証拠をあぶり出してみせます】

自信を持って宣言するティアナに全員が目を見開く。
ティアナにとっても、これは大きな賭けなのだ。
場合によっては自分が怪しまれ、最悪の場合は隠していた秘密が知られてしまうという恐れていたことが待ち受けている。

それでもこの件に関しては引いてはいられなかった。
それほど、今まで感じたことのない怒りに支配されていた。

病弱な母親の為に命令に従わざるを得ないオスカーを利用し、自分こそが王妃に相応しいと信じて疑わず、ティアナが婚約者に選ばれたのは王族を脅しているからだという都合のいい妄想の中動くクリスティーネ。

ユアンと出かけた街での出来事以来行き場のなかったクリスティーネへの怒りが、動物達から聞かされた話で静かに爆発したのだ。

ティアナの真剣な眼差しにいち早く、アレクシスが話を聞こう。と言うので、ティアナは口を開いた。

動物達から聞かされたオスカーの話とクリスティーネの計画に対抗するべく考えた自分の考えを。
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