あの日勇気がなかった私たちは~卒業の日~
「聞いてよ、澪~。色つきリップ塗っただけで指導されたんだけど!ほんと意味分かんない」

やはり今日も生徒指導に怒られていたようだ。愛はスカートの長さ、ピアスなどでしょっちゅう指導されている。

それにしても今日はかなりご立腹のようだ。これは下校時刻まで愚痴に付き合わされそうだ。

仕方なく参考書とノートを閉じる。


「校則違反した愛が悪いんでしょ」

「それはわかってるの。でも反省文書いたんだよ?なのにそのあとさらに一時間説教って、そんなに暇じゃないっつうの!」

なんともいえない。実に困る。フォローのしようがない。


そこから教師の悪口から親の愚痴まで熱弁していた愛の話を若干適当に流していると、

「ねえ、一ノ瀬もそう思うでしょ!?」

突然#が第三者に賛同を求めたため、後ろを振り返るといつの間にか男子生徒が一人席に座っていた。えっと確か・・・一ノ瀬くん、だっけ?
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