あの日勇気がなかった私たちは~卒業の日~
「突然俺を巻き込まないでよ、新藤」

「でも一ノ瀬もそう思わない?」

「まあね、確かにわかるけど、」

一ノ瀬くんは苦笑しながらも愛に答えを返す。

そこからなぜか三人での会話が始まった。窓側の前から二番目に座る私と、その前に座る愛、真ん中の列の一番後ろに座る一ノ瀬くん。明らかに会話するには不自然な距離感。
さらにいうと私は一ノ瀬くんと話したことがない。

端から見れば違和感しか感じないメンバーでの会話だが、調子よく弾む会話は楽しかった。しかし話題は進み、なぜか恋バナに変わった。・・・このメンバーで恋バナなんて変な感じだ。

私は恋バナはどうも苦手だ。正直誰が誰と付き合おうが知ったこっちゃないし、勝手にしてくれって感じだ。
ただ苦手な一番の要因は、私が今まで好きな人も付き合った人もいないことなのかもしれない。

自分から話題を提供できないので、どうしても受け身になってしまう。

恋愛をしたことがない私にはできるアドバイスなんてたかがしれている。
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