あの日勇気がなかった私たちは~卒業の日~
「そういえば、最近一ノ瀬って杏奈といい感じだよね、付き合ってるの?」

へー、最近一ノ瀬くんって九重さんといい感じなんだ。それさえしらなかった。
文化祭で一緒に呼び込み係をしたのがきっかけかな。


「まあね、付き合ってるよ」

「えっ、いつからいつから?」

私と違って愛は恋バナに目がない。
いまも目がキラキラと輝いている。

「文化祭の後夜祭で告られて、そこからかな」

おお、どうやら予想は当たっていたようだ。


「一緒に帰ったりしないの?」

「杏奈の塾がないときはね」


九重さんも塾に行っているんだ。やっぱり塾に行かないとだめなのかな。
恋バナをしている最中に関係ないことを考える。

「そっかそっか、付き合っていたんだ。いいな、文化祭明けからカップル増えたよねうちの学年。私も彼氏ほしいなあ」


確かにカップルは増えた。でも受験前なのにみんな余裕だな。
卒業前に思い出作りという感じなのだろうか。
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