あの日勇気がなかった私たちは~卒業の日~
「じゃあ私この駅だから。また明日、愛」
「うん、話聞いてくれてありがとう。ばいばい」
高校の最寄り駅から五駅先が私の最寄り駅。
さらにそこから15分歩いた先に私の家がある。
夜空を見上げながら今日のことを振り返る。
好きってどんな感じなんだろう。本当にテレビやマンガのようなものなのだろうか。
家族愛や友情にも好きはある。アイドルグループを追いかけている人もそのアイドルたちが好きだからこそ追いかけているのだろう。
ではその好きと恋人へ抱く好きは何が違うのだろう。
高校三年間で、恋愛について考える機会は何度かあった。
何人かには告白された。でも特に仲良くしていた人でもないのに告白されて、告白されたうれしさなんかよりもどうやって相手を傷つけずに断るか、という方ばかりだった。
相手のことを私は好きなのか、それを考えるとなぜかいつもそもそも恋愛とは、好きとはなにかという哲学的な方向に移ってしまう。