あの日勇気がなかった私たちは~卒業の日~
二人の放課後
次の日から放課後の時間は教室で一人、勉強をし始めた。
みんな塾にいったり、家で勉強するので、教室には基本私しかいなかった。
日直の人が時々日誌を書くために残っているくらいだ。


「澪、まだ残るの?」

「うん、今日は日直おつかれさま」

「ありがとう。勉強がんばってね」

今日の日直だったクラスの女子が帰ると、教室にいるのは自分だけだ。
いや、カバンが一つ残っているからまだ誰かが教室に帰ってくるだろう。


そこから30分、英語の長文問題と格闘していると

ガラガラッ

誰かが入ってきたようだ。
しかしあと一問でときおわるので、顔あげて誰が入ってきたのか確かめなかった。
ーーーよし、できた。

「あ・・・一ノ瀬くん」

「すごい集中力だね」

どうやら集中しすぎて入ってきたことにも気づかなかったと思われたようだ。
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