あの日勇気がなかった私たちは~卒業の日~
「誰かが入ってきたことは知ってたよ。でもきりのいいところまで解きたくて」
「そうだったんだ」
会話はそこで終わってしまった。言葉を交わしたのは昨日が初めてだったし、なにより今日は愛がいなくて二人っきりだから。
そこから私は視線をまた参考書に戻し、勉強を再開した。
一ノ瀬くんもどうやら勉強を始めたようだ。
彼女は今日も塾なのだろうか。
「・・・」
今日のぶんの勉強も終わり、そろそろ帰ろうかと教室の壁にかかっている時計を見上げると、六時半を指していた。
あとは家に帰ってから英単語の暗記をしよう。
頭の中で帰ってからの算段をつけながら、荷物をまとめていると、まだ一ノ瀬くんが残っていることに気がついた。
教室を出る直前に声をかけようか悩んだが、かなり集中しているようなので何も言わずに帰ることにした。
三年生の校舎は昇降口のある東校舎から一番離れた西校舎、必然的に昇降口に着くまで距離がある。
三年生の遅刻者が多いのは、西校舎が昇降口から一番遠いせいだと思う。
まあただの寝坊もおおいだろうが。
昇降口までの道のりで電気がまだついていて、人がいたのは吹奏楽部の練習部屋だけだった。
ほとんど人のいない、真っ暗な校舎を一人で歩くのは少し不気味だった。
「そうだったんだ」
会話はそこで終わってしまった。言葉を交わしたのは昨日が初めてだったし、なにより今日は愛がいなくて二人っきりだから。
そこから私は視線をまた参考書に戻し、勉強を再開した。
一ノ瀬くんもどうやら勉強を始めたようだ。
彼女は今日も塾なのだろうか。
「・・・」
今日のぶんの勉強も終わり、そろそろ帰ろうかと教室の壁にかかっている時計を見上げると、六時半を指していた。
あとは家に帰ってから英単語の暗記をしよう。
頭の中で帰ってからの算段をつけながら、荷物をまとめていると、まだ一ノ瀬くんが残っていることに気がついた。
教室を出る直前に声をかけようか悩んだが、かなり集中しているようなので何も言わずに帰ることにした。
三年生の校舎は昇降口のある東校舎から一番離れた西校舎、必然的に昇降口に着くまで距離がある。
三年生の遅刻者が多いのは、西校舎が昇降口から一番遠いせいだと思う。
まあただの寝坊もおおいだろうが。
昇降口までの道のりで電気がまだついていて、人がいたのは吹奏楽部の練習部屋だけだった。
ほとんど人のいない、真っ暗な校舎を一人で歩くのは少し不気味だった。