あの日勇気がなかった私たちは~卒業の日~
そんなことを考えながら昇降口でだらだらと靴を履き替える。


まだ朝だというのにもう暑い。

汗をぬぐいながら教室に入る。


「おはよ、久しぶりだね澪」

「おはよう莉子。確かに顔を合わすのは久しぶり」

教室に入るなり1番に声を掛けてくれたのは、この学校で1番仲のいい風早莉子。
彼女も吹奏楽部に所属していた。
性格もかなりさばさばしていて付き合いやすい。

いや、私の周りにはさばさばした人が多い気もする。


「そうだ、澪。私、塾に通い始めたんだ」

「え!?塾行かないっていってたのに!」


私と莉子は塾に行っていなかった。そして、二人とも塾に行かずに大学に行こうと言っていたのに…
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