あの日勇気がなかった私たちは~卒業の日~
話を聞いて
12月。街はイルミネーションに彩られ、華やかな装いになった。

大人も子供も、もうすぐやってくるクリスマスに浮き足立っている。
店はクリスマス商戦の準備で忙しそう。

どんな人にとっても勝負の季節。
好きな人に告白しようとする人、プロポーズしようとする人、クリスマスに売り上げを上げたいサラリーマン・・・
そして私にとっては偏差値を上げる最後のチャンス。

放課後に勉強を始めてから、私の偏差値はぐんぐん伸びた。
この調子でいけば第一志望も夢じゃない。
最後の模試もいい結果だった。気を抜かないで頑張りたい。


これからの人生を左右しかねない大事な受験。どの受験生も必死だろう。
周りも休み時間に友人と会話するのをやめ、単語帳を開くようになった。
クリスマスなんていってられない・・・もっとも私は幼い頃からクリスマスイブもクリスマスも両親が仕事なので、今年に限った話ではないが。


「ねえねえ、クリスマスどうする~?」

「わたしは彼氏とお泊まりデートなのっ」

「え~!?うらやましいなあ」

「それならさ、彼氏いない私たちは合コンしない?」

「「する~!!」


クリスマスだなんだといってられない私たち高校三年生だが、例外がいる。
それはAO入試などで夏までに進路が決まった人たちだ。
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