あの日勇気がなかった私たちは~卒業の日~
夏までに進路が決まる人は、大抵が専門学校や短大。
特に私のクラスは美容系に行く人が多いので、進路が決まっている人は派手な人ばかり。
まわりの迷惑もほとんど考えないから、休み時間も私たちにお構いなしでクリスマスの予定を話している。

(・・・ここで話さないで欲しいな)

受験が終わったのだから、終わったもの同士遊んでくれて構わない。しかし休み時間のわざわざ話すことが問題なのだ。
まだ受験が終わっていない子の中には、大好きなアイドルのクリスマスコンサートを受験勉強のためになくなく諦めた子だっている。

みんな勉強を頑張ろうとしている雰囲気なのにそれを壊す言動はよくないと思う。
みんな迷惑だと思っているが、わざわざ口には出さない。口に出せば面倒なことになるから。



「ねえ、今日のあいつらどうよ?あんまりじゃない!?」

「あれはさすがにねえ・・・わたしもカチンときちゃった」

案の定愛と莉子はご立腹のようだ。
まあ私もすこしいらついたが。


「あーあ、私だってライブに行きたいのに」

「ちゃんと我慢してる愛は偉いよ」

「ありがとうーー!!澪大好き!」

何を隠そう、ライブを諦めた子とは愛のことである。
諦めると決断した次の日にはショックのあまり寝込んでしまった。
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