あの日勇気がなかった私たちは~卒業の日~
高校生活最後のテストはあっけなく終了した。
テストにいい思い出なんてないから、特に感慨深くもなくただ終わったなと感じただけだった。

勉強もサボっていなかったから、そんなに悪くないだろう。
まあ、先生もすごく優しいテストにしてくれていたが・・・


「やばい!初めて赤点が一つもないかも!」

「・・・それが普通なのに」

大喜びしているのは愛。ここはテストが簡単だったことは伏せておこう、#の名誉のために。


「ねえ、明日から休みだよ!遊ぼうね、莉子もいれて三人で」

「もちろん、そのために最近は貯金してたから!」

「私は遊びかバイトしかしない!!」


そういえば前に愛が言っていたバイト先の先輩。この前その先輩の方から告白されて、無事に付き合えることになったらしい。
告白された当日の夜に電話で教えてくれた。
そのときの愛はすごく幸せそうで、乙女だなあと感じた。

「愛はデートでしょ!」

「なっ、莉子?!」

ニヤニヤと人の悪い顔でやってきたのは莉子。
莉子は恋バナも普通にするけれど、いま好きな人はいないのだろうか。
中学の頃に先輩と付き合っていたけれど、それも半年で別れていた気がする。

それも今度三人で遊ぶときに聞いてみよう。この前一人で一ノ瀬くんのことを白状させられたから、二人に仕返しをしたい。
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