あの日勇気がなかった私たちは~卒業の日~
最後の文化祭
始業式から1週間が過ぎ、夏休みボケしていたクラスメートも、そろそろリズムを取り戻してきた頃---


「---じゃあ以上の人が裏方のたこ焼き作りに決定ね」


LHRの時間に係決めを行った私のクラス。無事に私と莉子は裏方になることが出来た。

これでひと安心だ。


「次は呼び込み係だけど、やりたい人はいる?」

学級委員の田中くんが聞くけれど、立候補する人は誰もいない。

呼び込み係は学校中を歩き回って、たこ焼きをアピールしなければならない

体力もコミュニケーション力も必要なこの係をやりたい人はいないだろう。

「誰かいない?」

田中くんも困っていると、

「私、やろうか?」

手を挙げたのはクラス一の美人、九重杏奈ちゃん。美人なだけじゃなくて、明るく優しい九重さんは学校中の人気者だ。
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