あの日勇気がなかった私たちは~卒業の日~
「そうだね、ありがとう。莉子がいってくれなきゃ目的を見失ったままだった」
「どういたしまして。澪はすぐに目的をはき違えちゃうんだから。大学では近くにいられないんだから、気をつけてね」
「はいはい」
「ハイは一回」
「いたたたた」
おどけて返事をすると莉子に頬を引っ張られた。
そんな私と莉子のやりとりを見て愛は大笑いしている。
こんなやりとりは私たちにとって日常茶飯事だ。
しかし、そんな日常ももうおしまい。これからは毎日このやりとりをできることはないんだ。
「ほーら、何しんみりした顔してんの。そろそろ教室戻るよ」
「はーい」
莉子と愛のおかげで落ち着いた私は、笑顔で教室に戻ることができた。
一ノ瀬くんや九重さんのすがたを見ても、取り乱したりすることもなかった。
教室に戻って五分もたたない頃、教室に担任の先生がやってきた。
「よお、おまえらおはよう。今日で卒業なんて担任の俺も実感がないよ。とりあえず廊下に二列で並べー。体育館に移動するぞ」
担任の指示にクラス全員がはーいと返事を返す。
こうやってクラスメート全員が並ぶとなんだか入学式を思い出すなあ。
入学式の時はみんな新しい学校での生活に期待しながらも緊張していて、制服がぶかぶかな子もいた。
それなのに今ではみんな我が家のようにくつろいで毎日を過ごし、ぶかぶかの制服を着ていた子も、身長が伸びて制服が窮屈そうだ。
「どういたしまして。澪はすぐに目的をはき違えちゃうんだから。大学では近くにいられないんだから、気をつけてね」
「はいはい」
「ハイは一回」
「いたたたた」
おどけて返事をすると莉子に頬を引っ張られた。
そんな私と莉子のやりとりを見て愛は大笑いしている。
こんなやりとりは私たちにとって日常茶飯事だ。
しかし、そんな日常ももうおしまい。これからは毎日このやりとりをできることはないんだ。
「ほーら、何しんみりした顔してんの。そろそろ教室戻るよ」
「はーい」
莉子と愛のおかげで落ち着いた私は、笑顔で教室に戻ることができた。
一ノ瀬くんや九重さんのすがたを見ても、取り乱したりすることもなかった。
教室に戻って五分もたたない頃、教室に担任の先生がやってきた。
「よお、おまえらおはよう。今日で卒業なんて担任の俺も実感がないよ。とりあえず廊下に二列で並べー。体育館に移動するぞ」
担任の指示にクラス全員がはーいと返事を返す。
こうやってクラスメート全員が並ぶとなんだか入学式を思い出すなあ。
入学式の時はみんな新しい学校での生活に期待しながらも緊張していて、制服がぶかぶかな子もいた。
それなのに今ではみんな我が家のようにくつろいで毎日を過ごし、ぶかぶかの制服を着ていた子も、身長が伸びて制服が窮屈そうだ。